AIを活用した新規事業やプロダクト開発を行うスタートアップにとって、研究開発税制は重要な税制です。
AIモデルの開発、アルゴリズムの改善、データ解析、推論精度の向上、AIを活用した新サービスの開発などを行っている場合、一定の要件を満たせば、法人税額から税額控除を受けられる可能性があります。
もっとも、実務上は注意が必要です。
「AIを使っているから対象になる」
「エンジニアの人件費だから全部対象になる」
「スタートアップだから中小企業技術基盤強化税制だけ見ればよい」
という整理は危険です。
AI関係の事業で研究開発税制を適用するためには、対象となる研究開発の内容、対象費用、対象人員、工数、証拠資料を整理する必要があります。
また、スタートアップが使える研究開発税制は、中小企業技術基盤強化税制に限られません。
会社の規模、資本金、株主構成、共同研究・委託研究の有無などによって、一般型、オープンイノベーション型も検討対象になります。
1. 研究開発税制とは
研究開発税制とは、企業が試験研究費を支出した場合に、その試験研究費の一定割合を法人税額から控除できる制度です。
経済産業省は、研究開発税制について、民間企業の研究開発投資を維持・拡大し、イノベーション創出につながる中長期・革新的な研究開発等を促すことを目的とする制度と説明しています。
参考:経済産業省「研究開発税制について」
https://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/tax/about_tax.html
研究開発税制は、単なる費用計上ではありません。
法人税額から直接控除できる制度であるため、黒字化して法人税が発生している会社にとっては、節税効果が大きくなる可能性があります。
一方で、研究開発税制は、税務調査でも確認されやすい項目です。
特にAI開発の場合、研究開発と通常開発、保守、運用、導入支援、顧客別カスタマイズが混在しやすいため、対象範囲を慎重に整理する必要があります。
2. スタートアップが使える研究開発税制は1つではない
スタートアップが研究開発税制を検討する場合、まず中小企業技術基盤強化税制を検討します。
たしかに、多くのスタートアップでは、中小企業技術基盤強化税制が中心的な検討対象になります。
しかし、スタートアップが使える研究開発税制は、中小企業技術基盤強化税制だけではありません。
研究開発税制は、大きく次の3つに整理されます。
・一般試験研究費の額に係る税額控除制度
・中小企業技術基盤強化税制
・特別試験研究費の額に係る税額控除制度、いわゆるオープンイノベーション型
国税庁も、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除について、一般試験研究費の額に係る税額控除制度、中小企業技術基盤強化税制、特別試験研究費の額に係る税額控除制度があると説明しています。
参考:国税庁「No.5441 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5441.htm
中小企業者等に該当するスタートアップであれば、中小企業技術基盤強化税制が有力な選択肢になります。
参考:国税庁「No.5444 中小企業技術基盤強化税制」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5444.htm
一方で、資本金、株主構成、所得金額、適用除外事業者への該当性などによって、中小企業者等として扱われない場合もあります。
また、大学、研究機関、一定の企業等との共同研究・委託研究がある場合には、オープンイノベーション型の適用も検討対象になります。
したがって、実務上は、
・中小企業者等に該当するか
・一般型と中小企業技術基盤強化税制のどちらを使うか
・オープンイノベーション型の対象となる共同研究・委託研究がないか
・同じ費用を二重に控除対象としていないか
を確認する必要があります。
3. 研究開発税制の使い分け
研究開発税制は、会社の属性と研究開発の内容に応じて使い分ける必要があります。
3-1. 中小企業者等に該当する場合
中小企業者等に該当するスタートアップであれば、まず中小企業技術基盤強化税制を検討します。
中小企業技術基盤強化税制は、中小企業者等が試験研究費を支出した場合に、試験研究費の一定割合を法人税額から控除できる制度です。
参考:国税庁「No.5444 中小企業技術基盤強化税制」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5444.htm
多くのスタートアップでは、この制度が最初の検討対象になります。
ただし、中小企業者等に該当するかどうかは、資本金だけで判断するものではありません。
大規模法人による株式保有、適用除外事業者への該当性、通算制度の有無なども確認する必要があります。
資金調達を重ねたスタートアップでは、株主構成や資本金等の変化により、過年度と同じ制度を使えるとは限りません。
そのため、研究開発税制を適用する事業年度ごとに、中小企業者等に該当するかを確認する必要があります。
3-2. 中小企業者等に該当しない場合
中小企業者等に該当しない場合には、一般試験研究費の額に係る税額控除制度、いわゆる一般型を検討します。
たとえば、次のようなスタートアップでは、中小企業技術基盤強化税制ではなく、一般型の検討が必要になる場合があります。
・資本金が大きくなっている
・大規模法人グループの出資を受けている
・適用除外事業者に該当する
・上場準備や資金調達の過程で会社規模や株主構成が変化している
AI企業やSaaS企業では、資金調達や資本政策の結果、制度上の中小企業者等に該当するかが変わることがあります。
そのため、単に「スタートアップだから中小企業技術基盤強化税制」と判断するのではなく、会社の状況に応じて一般型も確認する必要があります。
参考:国税庁「No.5442 一般試験研究費の額に係る税額控除制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5442.htm
3-3. 大学・研究機関等との共同研究・委託研究がある場合
大学、国立研究開発法人、研究機関、一定の企業等との共同研究・委託研究がある場合には、特別試験研究費の額に係る税額控除制度、いわゆるオープンイノベーション型も検討します。
AI関係の事業では、大学研究室、研究機関、外部のAI企業、研究開発型スタートアップなどと共同研究・委託研究を行うケースがあります。
このような場合、中小企業技術基盤強化税制や一般型だけでなく、オープンイノベーション型の対象となる費用がないか確認することが重要です。
参考:国税庁「No.5443 特別試験研究費の額に係る税額控除制度(オープンイノベーション型)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5443.htm
ただし、オープンイノベーション型は、対象となる相手先、契約内容、研究開発の内容、費用負担、成果物、証明書類などの確認が重要です。
また、一般型または中小企業技術基盤強化税制の対象とした試験研究費を、重ねてオープンイノベーション型の対象にすることはできません。
同じ費用を二重に税額控除の対象にしないよう、費用区分を明確にする必要があります。
3-4. 実務上の使い分けイメージ
実務上は、次のように整理すると分かりやすいです。
| 会社・研究開発の状況 | 主に検討する制度 |
|---|---|
| 中小企業者等に該当するスタートアップが自社でAI開発を行う場合 | 中小企業技術基盤強化税制 |
| 中小企業者等に該当しないスタートアップが自社でAI開発を行う場合 | 一般型 |
| 大学・研究機関・一定の企業等と共同研究・委託研究を行う場合 | オープンイノベーション型 |
| 自社開発と共同研究・委託研究が混在する場合 | 自社開発部分は一般型または中小企業技術基盤強化税制、共同研究・委託研究部分はオープンイノベーション型を検討 |
| 同じ費用が複数制度に該当しそうな場合 | 二重計上がないよう費用を区分 |
ポイントは、研究開発税制を「1つの制度」として見るのではなく、会社の属性と研究開発の相手先・内容に応じて使い分けることです。
4. AI開発は研究開発税制の対象になり得る
AIを利用した新サービスの開発については、国税庁・東京国税局の文書回答事例でも、一定の事実関係を前提に、研究開発税制の対象となり得ることが示されています。
参考:国税庁「AIを利用して行った新たなサービスの開発における租税特別措置法第42条の4《試験研究を行った場合の法人税額の特別控除》の適用について」
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/hojin/191218/index.htm
参考:国税庁 別紙「AIを利用して行った新たなサービスの開発における試験研究費税額控除制度の適用について」
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/hojin/191218/01.htm
この文書回答事例では、AIを利用した新たなサービス開発として、たとえば以下のようなサービスが取り上げられています。
・異常検知サービス
・姿勢認識サービス
・図面認識サービス
・設計情報認識サービス
これらのサービス開発において、AIを組み込んだソフトウェアにより、センサーやWebカメラ等を利用してデータを自動収集し、そのデータを分析可能な形に整形し、情報解析を行い、新たなサービスとして設計・検証する流れが示されています。
つまり、AI開発については、一定の要件を満たせば、研究開発税制の対象となる可能性があります。
ただし、重要なのは、単にAIを使っていることではありません。
実務上は、AIを利用した新たな役務、すなわち対価を得て提供する新サービスの開発として説明できるかが重要になります。
5. 赤字の場合、研究開発税制は使えるのか
研究開発税制は、原則として法人税額から控除する制度です。
そのため、赤字で法人税額が発生していない場合、通常はその事業年度における即時の税額メリットはありません。
ただし、令和8年度税制改正により、中小企業技術基盤強化税制については、一定の要件を満たす場合、控除しきれなかった金額を最大3年間繰り越せる制度が創設されています。
一方で、一般型の研究開発税制については、同様の3年間の繰越控除制度の対象とはされていません。
したがって、一般型を適用する会社が赤字で法人税額がない場合、原則として当期の税額控除メリットはなく、控除額を翌期以降に繰り越すこともできません。
実務上は、次のように整理します。
| 制度 | 赤字の場合の取扱い |
|---|---|
| 一般型 | 法人税額がなければ控除効果はなく、原則として繰越不可 |
| 中小企業技術基盤強化税制 | 要件を満たせば、控除しきれなかった金額を最大3年間繰越可能 |
| オープンイノベーション型 | 法人税額がなければ控除効果は限定的で、原則として繰越不可 |
| 戦略技術領域型 | 要件を満たせば、最大3年間の繰越控除の対象となる可能性あり |
ただし、中小企業技術基盤強化税制についても、赤字であれば無条件に繰り越せるわけではありません。
経済産業省資料では、控除上限を超過した額について最大3年間の繰越税額控除が可能とされており、過去3年間の平均試験研究費と比較して、当該事業年度の試験研究費が増加している場合に限るとされています。
したがって、赤字のAIスタートアップでは、まず以下を確認する必要があります。
・中小企業者等に該当するか
・中小企業技術基盤強化税制の対象となる試験研究費があるか
・過去3年間の平均試験研究費と比較して、当期の試験研究費が増加しているか
・対象となる試験研究費を合理的に集計できるか
・翌期以降に繰り越すための申告書・明細管理ができるか
赤字だから研究開発税制を検討しなくてよい、というわけではありません。
特にAIスタートアップの場合、赤字期であっても、将来の黒字化に備えて、研究開発テーマ、工数、クラウド費用、外注費、実験ログ、評価レポート等を整理しておくことが重要です。
6. 「AIを使っている」だけでは足りない
研究開発税制の適用においては、AIという言葉だけで対象性が認められるわけではありません。
たとえば、次のようなものは慎重な検討が必要です。
・ChatGPT APIを使って社内業務を効率化した
・既存のAIツールを組み込んだだけのサービスを作った
・通常のWebアプリケーションにAI機能を追加した
・既存サービスの軽微な改善や保守を行った
・顧客ごとの個別カスタマイズを行った
これらが直ちに対象外というわけではありませんが、研究開発税制の対象として説明するには弱い場合があります。
特に、社内業務の効率化のみを目的としたAIツール開発は、「対価を得て提供する新たな役務の開発」として整理しにくいケースがあります。
一方で、次のような開発は、研究開発税制の対象として検討しやすい領域です。
・独自のAIモデルの開発
・機械学習モデルの精度改善
・大量データの収集、前処理、解析
・AIによる分類、予測、異常検知、認識機能の開発
・既存技術を新たな用途に応用するための検証
・推論精度、処理速度、推論コストの改善
・新たなAI SaaSやAIエージェントサービスの開発
ポイントは、「AIを使ったか」ではなく、「新たな知見を得るため、または利用可能な知見を新たに応用するための創造的・体系的な活動といえるか」です。
7. AIを利用した新サービス開発で重要な4つの視点
国税庁の文書回答事例を踏まえると、AIを利用した新サービス開発では、次の4つの視点が重要です。
7-1. 大量の情報を収集・取得しているか
AI開発では、データが重要です。
センサー、Webカメラ、ログ、取引データ、画像データ、文書データ、音声データなど、サービス開発に必要な情報をどのように収集・取得したのかを説明できる必要があります。
特に、情報収集の方法、データ量、データの内容、収集期間、データの利用目的を記録しておくことが重要です。
7-2. 情報解析専門家が分析しているか
AI開発では、データを収集するだけでは不十分です。
収集したデータを、統計学、確率論、情報処理、機械学習等の専門知識を有する者が分析していることが重要です。
AI開発の場合、データサイエンティスト、機械学習エンジニア、AIエンジニアなどが該当し得ます。
実務上は、誰が情報解析を行ったのか、その人がどのような専門性を有しているのかを説明できる資料を残しておくことが望ましいです。
なお、中小企業技術基盤強化税制においても、「情報解析専門家による分析」は、AI開発全般について一律に要求される要件ではありません。
国税庁のタックスアンサーでは、対象となる試験研究費として、①製品の製造または技術の改良、考案もしくは発明に係る試験研究と、②対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究が区分されています。
このうち、情報解析専門家による分析が要件として示されているのは、②の新サービス研究です。したがって、AI SaaSやAIエージェントなどを「対価を得て提供する新たな役務の開発」として整理する場合には、情報解析専門家による分析の有無を確認する必要があります。
一方で、AIモデル、アルゴリズム、推論処理、データ処理技術等について、技術の改良、考案、発明に係る試験研究として整理できる場合には、「情報解析専門家」がいるかどうかだけで判断するのではなく、新たな知見の獲得または利用可能な知見の新たな応用を考案するための創造的・体系的な活動といえるかを検討することになります。
7-3. 発見された法則・モデルを利用して新サービスを設計しているか
データを集めて分析するだけでは、研究開発税制の対象としては弱い場合があります。
分析により得られた法則、予測モデル、分類モデル、異常検知ロジック、認識モデルなどを利用して、新たなサービスを設計していることが重要です。
AI SaaS、AIエージェント、業務自動化AI、画像認識サービス、異常検知サービス、文書解析サービスなどでは、この点を具体的に説明できるようにしておく必要があります。
7-4. 妥当性・サービス適合性を検証しているか
AIモデルやアルゴリズムを開発しただけではなく、そのモデルがサービスとして有効に機能するかを検証していることも重要です。
たとえば、以下のような評価指標が考えられます。
・正解率
・適合率
・再現率
・F値
・異常検知率
・OCR精度
・分類精度
・推論速度
・推論コスト
・ハルシネーション率
・人手修正率
・処理時間
・レコメンド精度
「何をもって改善したといえるのか」を明確にし、検証結果をレポートとして残しておくことが重要です。
8. AI関係で対象になりやすい費用
AI開発で研究開発税制の対象となり得る費用としては、たとえば次のようなものがあります。
・研究開発に従事するエンジニア、データサイエンティスト等の人件費
・データ収集、データ整形、データ分析に係る費用
・学習用データの購入費用
・クラウド利用料
・GPUサーバー利用料
・解析用ソフトウェアの利用料
・研究開発用環境の構築費用
・外部のAIエンジニア、研究機関、開発会社等への委託費
・モデル検証、評価レポート作成等に係る費用
ただし、これらの費用が常に全額対象になるわけではありません。
対象となるのは、あくまで研究開発に直接対応する部分です。
たとえば、クラウド費用であっても、本番環境、顧客提供環境、社内業務利用環境に係る費用まで含めると、対象範囲が広すぎる可能性があります。
研究開発用の環境と本番環境を区分し、対象費用を合理的に集計できる体制が重要です。
9. 人件費は最も注意が必要
AI開発で最も注意すべきなのは、人件費です。
AIスタートアップでは、エンジニア、データサイエンティスト、PdM、CTOなどがプロダクト開発に関与します。
しかし、これらの人件費をすべて研究開発税制の対象にするのは危険です。
研究開発に直接従事した部分と、通常開発、保守、運用、営業支援、顧客対応、導入支援などの部分を区分する必要があります。
たとえば、次のような業務は対象になりやすいと考えられます。
・モデル開発
・アルゴリズム改善
・データ解析
・特徴量設計
・評価データセットの作成
・精度検証
・推論コスト削減の検証
・RAG(検索拡張生成)構成の検証
・プロンプト最適化の実験
一方で、次のような業務は対象外または慎重な判断が必要です。
・既存機能の保守
・バグ修正
・通常の画面開発
・顧客別カスタマイズ
・営業同行
・導入支援
・カスタマーサクセス対応
・社内利用ツールの運用
実務上は、対象者ごとの工数表を作成し、研究開発に従事した時間を合理的に把握しておくことが重要です。
10. クラウド費用・GPU費用は区分管理が重要
AI開発では、AWS、Google Cloud、Azure、GPUサーバー、データ基盤、外部API利用料などの費用が大きくなることがあります。
これらの費用も研究開発税制の対象になり得ますが、実務上は区分管理が非常に重要です。
特に、次のような区分ができていない場合、税務調査で説明が難しくなる可能性があります。
・研究開発用環境
・本番環境
・顧客提供環境
・社内業務利用環境
・営業デモ環境
・検証用環境
できれば、研究開発用のクラウドアカウントやプロジェクトを分ける、タグ管理を行う、GPU利用ログを保存するなど、費用の対応関係を明確にしておくことが望ましいです。
11. 外注費・委託費は契約書と請求書の記載が重要
AI開発では、外部のAIエンジニア、データサイエンティスト、大学、研究機関、開発会社等に業務を委託することがあります。
外注費や委託費も研究開発税制の対象になり得ます。
ただし、契約書や請求書の記載が「AI開発一式」となっているだけでは、研究開発部分と通常開発部分の区分が難しくなります。
実務上は、契約書、発注書、請求書、成果物において、以下のような内容を明確にしておくことが望ましいです。
・データ収集
・データ前処理
・モデル開発
・アルゴリズム改善
・精度検証
・PoC
・評価レポート作成
・新サービス開発
・研究開発部分と通常開発部分の区分
一方で、保守、運用、顧客別カスタマイズ、導入支援、営業資料作成などが含まれる場合には、その部分を除外する必要があります。
特に、オープンイノベーション型の適用を検討する場合には、契約書、研究計画、成果物、費用負担、相手先の属性などをより慎重に確認する必要があります。
12. 税務調査で問題になりやすいポイント
研究開発税制は、申告時にすべての研究開発資料を税務署へ提出する制度ではありません。
しかし、税務調査では、対象性・費用集計・工数・証憑を説明する必要があります。
AI関係の研究開発税制では、次のような整理は税務調査で問題になりやすいと考えられます。
・AIプロダクトの開発費をすべて研究開発費にしている
・エンジニア人件費を全額対象にしている
・工数表がない
・研究開発と通常開発の区分がない
・本番環境のクラウド費用を含めている
・保守、運用、導入支援、CS対応を含めている
・外注費の内容が「開発一式」としか分からない
・共同研究契約や委託研究契約の内容が不明確
・GitHub、Jira、Backlog等の開発記録と費用集計が整合していない
・期末にまとめて後付けで資料を作成している
・社内業務効率化ツールを広く対象にしている
・一般型、中小企業技術基盤強化税制、オープンイノベーション型の関係を整理していない
・同じ費用を複数の制度で二重に控除対象としている
AI事業は研究開発の要素が強い一方で、通常のプロダクト開発や保守運用とも混在しやすい分野です。
そのため、「対象になりそうだから広く入れる」のではなく、「対象になる部分を合理的に説明できるように区分する」という姿勢が重要です。
